
メリル・ストリープは57歳のジャーナリストで、要介護の母親を抱えていてもう昔のような大胆な記事は書けない。メリルは巨大なヒップをタイトスカートに包んだ普通の中年女性を自然に演じていて良かったが、身につまされるものもあった。
彼女がインタビューしているのがトム・クルーズ演じる上院議員。政治の力でアフガン戦争に小隊(platoon)を使った山頂奪回作戦をとらせ、それをメリルに書いてもらって票にしようとしている。ただの票ではなく、大統領の椅子を狙う票だろう。
監督したロバート・レッドフォードが演じるのは政治学の大学教授で、若い繊細な子供たちを洗脳している。彼の2人の教え子がこのアフガン戦争に志願している。彼らが死ぬ前だが、大学教授は目をつけた学生を説得する。
2人の志願兵はかわいそうだが、彼らには奨学金返済免除などの理由もあった。所詮、アメリカという国の中での論理である。アフガンでは大学も奨学金もへったくれも無い。
メリルは編集長から、この職を失ったらもう働くところはないぞ、と脅され、結局記事を書く。
山頂奪回作戦ではヘリコプターは打ち落とされ、兵隊たちは死ぬ。しかし、テレビのテロップでは「山頂を掌握した」と出る。
これは、むかし大好きだったレマルクの[西部戦線異状なし]と同じだ。兵士が防空壕から顔を出して蝶々を見ようとしたとき撃たれるが、傍のラジオからは「西部戦線異状なし」という声が流れるのだった。
メリルは車の中からアーリントン墓地を眺める。ベトナム戦争(というか、アメリカのベトナム攻撃)で多くの若者を失っても、その教訓から戦争(というかアメリカの攻撃)を止める政治家は無い。911が新たな理由を与えて中近東で展開される現在の戦争(というかアメリカの攻撃)も終わらない。
この映画は最近の映画のパターンで、「え、これで終わりかよ〜」と終わる。ま、想像はしていた。何の解決もできず、終わりのない話だからね。
ただ、心の中に多くの疑問と不愉快な気分が蔓延した。戦争に関してはニュースで慣れっこになってしまっている私などの普通の人間(Lambs?)に喝を入れる役目は果たしたようだ。
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